エゴグラム
エゴグラムとは、交流分析(TA)のCP、NP、A、FC、ACと言ったそれぞれの自我状態に給付される心的エネルギー量をグラフに表したものをエゴグラムと言います。
このエゴグラムは、人間の性格や行動パターンを捉えるのに優れた方法です。エゴグラムの創案者デュセイは最初、エゴグラムは直観的な判断をもとにして作成するのが良いとしましたが、その後より理論的で客観的なエゴグラムを描くために質問紙法を用いるテストがいろいろと開発されています。
エゴグラムは交流分析(TA)の理論に基づいているため、その使用にはあらかじめ交流分析を学習しておくことが大前提となります。
心理テストはクライエントの性格特性をつかむための補助的な手段ですので、その結果を絶対視しないようにしましょう。結果に善し悪しはありません。
エゴグラムを1対1のカウンセリングで用いる場合は、原則として検査施行者は一定の時間間隔を置いて一項ずつ読み上げ、それに従ってクライエントが記入する「強制速度法」で行われます。
読み上げる時間間隔は、あまり短いと決められないし、逆に長すぎると考えすぎてしまいます。年齢や言語理解の能力に歩調を合わせて読み上げます。
エゴグラムによって自分の性格特性を分析できたら、次にその値を変化させる言動を行うことによって、よりバランスのとれた自己への変容を促します。
現在の自分のエゴグラムと比較して、低い部分を高くするようにしていきます。エゴグラムで一番高い自我状態は、あなたの性格特性の中心を担っていると考えられるので、無理に縮めようとしてもあまり上手くいかないものです。
低い部分を高くすることで心的エネルギーの配分が変わり、他の部分への心的エネルギーの配分が減って行くようになります。
WPPSI(ウィプシー:Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)
WPPSI(ウィプシー)とは、ウェクスラー式知能検査の中でも3歳10ヶ月~7歳1ヶ月までの幼児に行われる知能検査です。
WPPSI(ウィプシー)の最新版はWPPSI-IIIで、言語性IQ、動作性IQ、全検査IQの3種類のIQの下位検査プロフィールによる詳細な診断ができます。
幼児向けの精密な知能検査として高い信頼性と安定性を得ています。
知的発達に遅れのある場合は、年齢が7歳1ヶ月を超えても、「テスト年齢換算表」を利用することによって発達の様子を知ることができます。
6種類の言語性下位検査と5種類の動作性下位検査で構成されていて、言語性IQと動作性IQおよび全検査IQを測定できます。
下位検査の評価点プロフィールを作成することで、「個人内差」を診断します。
保育所、幼稚園、教育相談所、児童相談所、小児病院などの臨床の場で広く活用されています。
【言語性下位評価】
1.知識、2.単語、3.算数、4.類似、5.理解、文章(補充問題)
【動作性下位検査】
1.動物の家、2.絵画の完成、3.迷路、4.幾何図形、5.積木模様
WISC(ウィスク:Wechsler Intelligence Scale for Children)
WISC(ウィスク)とは、ウェクスラー式知能検査の中でも5歳0ヶ月~16歳11ヶ月までの幼児に行われる知能検査です。
WISC(ウィスク)は、2011年1月に最新版WISC-IVが発表され、大幅な改訂が行われました。3つの下位検査が削除され、新しい下位検査が5つ取り入れられるなど、検査の構成が大きく変わり、10の基本検査から全検査IQと4つの指標点の算出が可能となりました。
15の下位検査のうち、5つが新しい検査(絵の概念、語音整列、行列推理、絵の抹消、語の推理)です。
また、妥当性の低さが問題とされていた言語性IQ、動作性IQを廃止し、全検査IQと言語理解・ワーキングメモリー・知覚推理・処理速度の4つの指標得点(群指数から名称変更)を算出する形式変更。
下位検査間、指標特典間のディスクレパンシーを検討することも可能になりました。
下位検査の結果から、子供の誤りの特質を表す7つのプロセス特典を算出することで、得点の原因を詳細に分析することが可能です。
WAIS(ウェイス:Wechsler Adult Intelligence for Scale)
WAIS(ウェイス)とは、ウェクスラー式知能検査の中でも16歳~89歳までの成人に行われる知能検査です 。
WAIS(ウェイス)の最新版はWAIS-IIIで、時代とともに積極的な改訂が進められています。例えば、WAIS-IIIに改訂する際に群指数という新たな視点を導入しました。
これは、言語性・動作性とは異なる視点として、下位検査の結果を「言語理解・知覚統合・作動記憶・処理速度」の4つに分類してまとめたものです。
また、高齢社会に対応するため適用年齢が大幅に拡大されたことや、提示用の図版の大型・カラー化や時代に合わなくなった問題内容の修正など、種々の改良が加えられています。
言語性IQ(VIQ)、動作性IQ(PIQ)、全検査IQ(FIQ)の3つのIQに加え、「言語理解(VC)」、「知覚統合(PO)」、「動作記憶(WM)」、「処理速度(PS)」の4つの群指数も測定でき、一層多面的な把握や解釈が可能になりました。
IQや群指数のプロフィール、下位検査の評価点プロフィールの表示に加え、ディスクレバンシー分析、下位検査レベルでのSとWの判定、「符号」と「数唱」の検査も記録用紙上で行うことができます。
14の下位検査から構成されますが、IQか群指数かその両方かなど、測定したい目的に応じて実施する下位検査選択をすることができます。
ビネー式知能検査
ビネー式知能検査とは、ビネーが開発しターマンによって実用化されたビネー式知能検査です。このビネー式知能検査には2の特徴があります。
①精神年齢を測定
各年齢群の児童の50%~70%が正解できる項目をその年齢の標準問題として設定します(例:例えば、8歳児の50%が正解する項目があれば8歳用の問題として採用します。8歳児のほとんどが不正解だったり、ほぼ正解だったりする問題は8歳用の問題として不採用とします)。
例えばある児童が、8歳の標準問題は正解できたが、9歳の標準問題を正解できなかった場合、その児童の精神年齢が8歳と測定されます。
②知能指数の算出
知能指数(IQ)はシュテルンによって発案されました。精神年齢÷生活年齢×100で表されます。例えば生活年齢(実年齢)10歳の児童が精神年齢12歳だった場合は、12÷10×100で、IQ120となります。IQは100を標準とします。
■ビネー式知能検査の欠点
ビネー式知能検査は世界初の知能検査であり、広く普及することとなっていきましたが、幾つかの欠点をもっていました。
1つは全般的な知的発達度はわかるが、知的能力ごとの違いはわからない点でした。例えば精神年齢8歳と測定された児童の中には、言語的な能力が優れている児童もいれば、数の能力に優れた児童もいるはずです。
だが、そのような知的能力ごとの違いはわからず、全体として8歳児レベルの知的発達度をもっている点のみ判明します。このことから、ビネー式知能検査を概観的知能検査と呼ぶこともあります。
もう1つの欠点は、児童のみを主な対象としている点です。特に精神年齢は成人以降、意味をなさないことが多いです(精神年齢が20歳だろうと21歳だろうと、大きな違いはない。生活年齢20歳・精神年齢30歳の人を、30÷20×100=IQ150の天才と呼べるだろうか?)。
そのため、かつてのビネー式知能検査は児童用に限定されていました。
■現在のビネー式知能検査
現在、日本で一般に用いられているビネー式知能検査の最新版は、田中ビネー知能検査V(ファイブ)です。
では、成人以降の精神年齢を算出せず、平均的な知的能力と比較してどの程度の知的能力を持っているかを示す偏差知能指数(DIQ)を用いることで、成人も測定対象に含めています。
また、全般的な知的能力だけでなく領域ごとの評価も導入されており、欠点の改善が図られています。
ロールシャッハ・テスト
ロールシャッハ・テストとは、ロールシャッハが開発した投影法(投映法)のことを指します。投影法とは、曖昧で多義的な刺激に対する被検査者の自由な反応を得て、それを分析することで被検査者の性格特性を把握しようとする性格検査の総称です。
左右対称のインクの染み(曖昧な刺激)が何に見えるか答えてもらい(被検査者の自由な反応)、その反応内容を分析します。
図版は白黒5枚、カラー5枚、また判定方式としては包括システムが普及していますが、日本では伝統的に片口法という判定方式が用いられることが多いです。
■投影法の利点
①無意識的側面がとらえられる
投影法では、被検査者の自由な反応に無意識的な側面が反映されると考えます。そのため、質問紙法では明らかにならない無意識面の性格特性が明らかになることがあります。
②回答のバイアスが生じにくい
検査の意図が読み取られにくいため、自分をよく見せようとしたり、虚偽や誇張をしたりすることが困難で、回答のバイアスが生じにくいです。
■投影法の欠点
①検査者の主観的解釈
解釈に検査者の主観が入るため、検査者による解釈の違いが生じやすいです。主観を廃するための判定基準に関しても、判定の根拠が薄弱なものが多いです。
②集団実施が困難
基本的に検査者と被検査者の1対1で行うことが多いです(検査により例外有り)。
③検査者の熟練が必要
投影法の実施・結果の解釈には熟練が必要とされます。検査者の熟練によって検査結果が左右される可能性があります。
④被検査者の負担
被検査者は何を測られているかわからないため、不安を抱きやすいです。選択肢ではなく自由な回答を求められるため、心理的な負担も大きいです。
場合によっては中断せざるを得ない場合もあります。ロールシャッハ・テストの場合、よくわからないインクの染みを何枚も見せられて、自分の回答がどう判定されるかもわからないまま、何に見えるか答え続ける…と考えれば、その負担の大きさがわかるでしょう。
⑤言語能力に依存
反応として言語報告をするものが多いため、投影法でも被検査者に一定の言語能力が必要となります。ただし、描画法を用いることでこの欠点をカバーすることができます。
TAT(主題統覚検査)
TAT(主題統覚検査)とは、マレーとモーガンが開発した投影法(投映法)です。絵から自由に物語を創作してもらいます。
創作された物語の主人公の行動に被検査者の欲求が、主人公の周囲で起きる出来事に被検査者が環境から受ける圧力が、それぞれ反映されていると考えます(欲求-圧力理論)。
図版30枚と白紙1枚の計31枚からなり、被検査者によって図版を使い分けます。
子ども用のCAT、高齢者用のSATが存在します。ロールシャッハ・テストと比較して判定方法に関する研究が少なく、判定方法が確立しているとは言い難いです。
P-Fスタディ
P-Fスタディとは、ローゼンツァイクが開発した投影法(投映法)です。欲求不満場面が描かれたマンガのような絵の吹き出しに自由にセリフを書き入れてもらい、それを分析します。
Pはpicture、Fはfrustrationを表します。その名の通り、絵を用いて欲求不満耐性を測定する検査です。
絵は24枚、吹き出しのセリフを書き直すときは、消しゴムで消さずに線を引いて修正します。他の投影法と比較して、回答の自由度が低めです。
SCT(文章完成法)
SCT(文章完成法)とは、不完全な文章が提示されその文章の続きを完成させていく投影法(投映法)です。
例)私は子どもの頃・・・(この続きを自由に書く)
投影法ではありますが、意識的な側面が反映されやすいです。また、回答の歪みが生じやすいです。
例)私は子どもの頃「いつもニコニコしていた」
→ただし、本人がそう意識しているだけで、真実は異なる可能性がある。
また、事実と歪めて回答している可能性も否定できない。
以上のように、投影法ではあるが質問紙法的な特徴を持ちます。
SCT単独で用いられることは少なく、テストバッテリーの一貫として用いられることが多いです。
バウムテスト
バウムテストとは、ゴッホが開発した描画法(描画投影法)です。この描画法は被検査者に絵を描いてもらい、その絵を分析することで性格特徴を把握しようとする投影法の一種です。
特に、言語表出が困難な年齢や症状をもつ対象に対して実施可能な点が大きな利点として挙げられます。
また、絵を描く行為そのものが自己表現に繋がり、治療的な効果をもたらす場合もあります。
だが投影法の一種であるため解釈が困難であることや、検査者の主観が解釈に混入することなど、投影法の欠点の多くは描画法にも当てはまります。
A4用紙に「実のなる木を1本描いてください」と教示します。そして、描かれた木の大きさ、形、バランスなどから被検査者の特徴を推測します。
あくまで補助的な理解にすぎず、性格特徴や発達的側面の全てがわかることはありません(テスト・バッテリーの1つとして用います)。
HTPテスト
HTPテストとは、バックが開発した描画法(描画投影法)です。家、木、人(House、Tree、Person=HTP)の順に、それぞれ別のB5の画用紙に描きます。
家には家庭環境が、木には無意識的な自己像が、人には現実に認識している自己像が、それぞれ反映されやすいです。
描画終了後、描いた絵について64の質問を行います。この質問をPDI(Post-Drawing-Interrogation)と言います。
描画という非言語的な側面と、PDIによる言語的側面の両面からアプローチが可能です。
動的家族画
動的家族画とは、バーンズが開発した描画法(描画投影法)です。A4用紙に「家族が何かをしているところ」を描きます。
家族画には、個人のパーソナリティだけでなく、家族間の関係性や対人関係の態度が投影されると考えます。
家族成員同士で画を見せ合うことで、家族集団全体の力動性を知ることも可能です。
風景構成法
風景構成法とは、中井 久夫が開発した描画法(描画投影法)です。統合失調症者との言語的交流を補うために創案されました。
A4用紙に「川、山、田、道、家、木、人、花、動物、石」を順に描いてもらい、1つの風景を完成させます。
統合失調症者は、風景構成が瓦解し描けなくなることが多いが、回復過程で描けるようになっていきます。このように、風景全体の構成に注目します。
内田クレペリン精神作業検査
内田クリペリン精神作業検査とは、クリペリンが考案した作業を、内田 勇三郎が検査として改良した作業検査法です。
作業検査法は、被検査者に簡単な作業を行わせて、その作業結果から性格特徴をとらえる方法です。
■作業検査法の利点
①集団実施が可能
一度に多人数に実施することが可能です。
②回答のバイアスが生じにくい
性格検査と気づかれにくく、意図的な回答の歪を排除することができます。
③言語能力に依存しない
作業が中心であるため、言語が困難な対象に対しても実施可能です。
■作業検査法の欠点
①情報量の少なさ
1つの作業検査法から得られる情報量はさほど多くないです。表面的で限られたパーソナリティの側面しか判断しません。
②分析者の主観的解釈
結果の判定に分析者の主観が混入します。そのため、結果の解釈には熟練を要します。
③内容の単調さ
作業が単調かつ時間がかかるため、被検査者に負担がかかります。
ランダム数字が、上下2段に17行ずつ印刷された検査用紙を用います。また、健常者の作業曲線は定型曲線と呼ばれており、以下の特徴を持ちます。
1)最初の1分の作業量が最も多い(初頭努力)
2)最後の行(15分目)が次に多い(終末努力)
3)前半よりも後半の方が作業量が多い(休憩効果)
ベンダー・ゲシュタルト・テスト
ベンダー・ゲシュタルト・テストとは、ベンダーが開発した作業検査法です。図形9つを1つずつ提示し、時間制限を設けずに模写します。
図形はゲシュタルト心理学の創始者、ウェルトハイマーによるものです。描写の正確さ、線の乱れなどに注目し、脳機能の障害を査定します。
人格の成熟度、知的側面の遅れなどを判断することもあります。
MMPI(ミネソタ多面的人格目録)
MMPI(ミネソタ多面的人格目録)とは、ハザウェイとマッキンレイによって開発された質問紙法です。質問紙法は、あらかじめ用意された各質問項目に回答者が「あてはまる-あてはまらない」などを回答することにより、性格特性を把握しようとする検査です。
■質問紙法の利点
①統計的処理による客観的解釈
たとえば各質問項目の回答について「はい」を2、「どちらともいえない」を1、「いいえ」を0とするなどして、数量化が可能です。数量化によって統計的な処理が可能となり、客観的なデータが得られます。検査者の主観は入りにくいです。
②集団実施が可能
必要に応じて多人数に質問紙を配布し、同時に実施することが可能です。
③検査者の熟練に左右されにくい
実施方法はマニュアル化されており、検査者の熟練によって結果が左右されにくいです。
■質問紙法の欠点
①無意識的側面がとらえられない
自分が「自分のことをどう思っているか」をもとに回答するため、自分の知らない自分、つまり無意識的な側面は回答に反映されにくいです。
意識している自分の姿が反映されます(そしてその「意識している自分の姿」が、現実の自分の姿と完全に合致している保証もないです)。
②回答のバイアスが生じやすい
自分をよく見せようとしたり、社会的に望ましい回答を選んでしまったりなど、回答の歪み(バイアス)が生じる可能性があります。
③言語能力に依存
質問項目を正しく読みとることができなければ、適切な回答をすることができない。そのため、一定の言語能力を必要とします。
健常者と精神疾患をもつ者で有意差があった質問項目で構成されています。臨床現場で多く活用されています。
妥当性尺度を持ちます。自分をよく見せようとしていないか調べる質問や、めったに「はい」と答えることがない質問に「はい」と答えているかなどを調べ、回答の歪みや虚偽・脚色、精神的な混乱などがないかをチェックします。
「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3件法です。ただし、「どちらでもない」は10個以下にするように教示されます。
550の質問項目、10の臨床尺度と4の妥当性尺度で構成されます。質問項目が多く、実施に時間がかかります。
YG性格検査(谷田部-ギルフォード性格検査)
YG性格検査(谷田部-ギルフォード性格検査)とは、ギルフォードの性格検査を谷田部 達郎が日本人用に標準化した質問紙法です。日本で最も多く使われています。
「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3件法です。120の質問項目で12の性格特性を測定します。また、測定結果で5つの類型に分類することも可能です。
MMPIのように妥当性尺度がないため、回答の歪みを判定できません。妥当性に問題があります。
MPI(モーズレイ人格目録)
MPI(モーズレイ人格目録)とは、アイゼンクが開発した質問紙法です(モーズレイは病院名)。
80の質問項目、3件法です。情緒安定性である「神経症傾向」と社会性である「外向性-内向性」の2つの性格特性を測定します。
日本版のみ、回答の歪みを判断する虚偽尺度があります。
EPPS
EPPSとは、エドワーズが開発した質問紙法です。同程度の社会的望ましさをもつ文章が2つ提示され、どちらかを強制的に選択することで、回答者の欲求を明らかにします。
例)A・他の人がびっくりするような大胆なことをしたい。
B・他人の考えることを分析してみたい。
→AかBのどちらかを選ばなければならない。
上記の強制選択法で、社会的望ましさによる回答の歪みを統制します。
MAS(顕在性不安検査)
MAS(顕在性不安検査)とは、テイラーが開発した質問紙法です。MMPIから不安に関する質問項目を抽出して作成された検査です。
日本版は不安尺度50項目と虚偽尺度15項目からなります。
STAI(状態-特性不安検査)
STAI(状態-特性不安検査)とは、スピルバーガーが開発した質問紙法です。生活条件により変化する一時的な不安である状態不安と、生活条件に関係なく存在する特性不安を分けて測定します。
状態不安と特性不安20項目ずつ、計40項目からなります。
BDI(ベック抑うつ質問紙)
BDI(ベック抑うつ質問紙)とは、ベックが開発した質問紙法です。21の質問項目で、抑うつの程度を測定するための質問紙です。
抑うつ質問紙には他に、SDS、CES-D、GSDなどがあります。
テスト・バッテリー
質問紙法と投影法は、互いに欠点を補い合う関係にあるため、テスト・バッテリーとして用いられることが多いです。以下にそれぞれの特徴を整理します。
■客観性
①質問紙法
統計的処理による客観的解釈が可能です。検査者間で解釈がずれることがありません。
②投影法
検査者の主観的解釈により、検査者間で解釈のずれが生じる可能性があります。
■集団実施
①質問紙法
可能です。
②投影法
基本的に個人検査です。
■検査者の熟練
①質問紙法
手続きが厳密に標準化されているため、熟練は不要です。
②投影法
実施・分析ともに熟練を必要とします。
■所要時間
①質問紙法
比較的短時間です。
②投影法
比較的長時間です(負担が大きい)。
■測定水準
①質問紙法
意識水準を測定。「自分が意識している自分」が測定されます。
②投影法
無意識水準まで測定。「自分が意識していない自分」まで測定されます。
■回答操作
①質問紙法
検査の意図が推測されやすいため、社会的望ましさや防御的態度による回答の歪みが生じやすいです。
②投影法
検査の意図が推測されにくいため、回答の歪みが生じにくいです(だが、この点が被検査者の負担をより大きくしています)。
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社