【カタルシス】

カタルシスとは、抑圧された過去の不快体験と結びついた感情や内的葛藤を自由に表出することにより発散することです。

本来はギリシア語に由来し、「浄化」を意味します。心理学や精神医学の分野ではJ.ブロイアーがヒステリーの治療機序として初めて明確化し、後のS.フロイトが初期の精神分析の治療手段の1つとして定着させました。

今日カタルシスの効果は、精神分析以外の心理療法やカウンセリングでも認められています。

【ピア・カウンセリング】

ピア・カウンセリングとは、同じような悩みや問題を持った人同士で行う相談のことで、ピアとは仲間という意味を指します。

例えば、障害のある人たちはいつも介助者がいるためになかなか本音を話せない場合、ピア・カウンセリングで心から話して、気持ちをリフレッシュさせます。

自然に備わっている友好的な気持ちをよりどころにしているため、同じ仲間意識や境遇をお互いが理解しあうことで、同じ目線でお互いの理解を深めていきます。

【トレーニング・グループ(Tグループ)】

トレーニング・グループ(Tグループ)とは、組織内の技術の向上や、個人の成長を目的としたグループ体験的手法です。

主に郊外で行われ、1グループ10人前後で、それにトレーナーと呼ばれるグループ・リーダーが1~2人加わります。さらにそれにオブザーバーが1~2人加わることもあります。

グループ・メンバーは円く並べられた椅子に座り、「今、ここで」のグループの動きに集中するよう求められます。

その中で起こる情緒的体験から、自他の存在を認め人間関係のあり方や主体的な生き方を考えさせられるようになります。

【サイコドラマ】

サイコドラマとは、精神科医モレノによって創始されたドラマ形式を用いたグループ療法です。

普通の演劇とは異なり、初めから舞台に演じる役者がいるのではなく、参加する人々が自分自身の問題を解決するためには自分で演じます。

このドラマには脚本がなく、即興的にその場で自分が抱えている悩みを他の参加者を前に演じることで伝え、自分自身気づかなかった「自分の心の問題は一体何なのか」ということを明らかにします。

「本当はどうしたいのか」ということを、演劇で行うことによって、実生活でのストレスの軽減や、自発性や創造性、抱えていた心的葛藤の整理などが促進され、クライエント自身が気がつかなかった自他の姿を見ることの一助になるでしょう。

【グループ・カウンセリング】

グループ・カウンセリングとは、同じような問題・悩みを持つ人たちが集まり、お互いを理解し、意見交換をしていく中で、問題解決の支援をしていこうというものです。

グループ・カウンセリングは1対1のカウンセリングとは違った、グループ独特の機能と特性を活用したアプローチであり、平均7~8人の小グループにセラピストが1~2人という構成で90分ほど話し合うのが一般的です。

似たような悩みを持った人たちなので、悩みを共有することができ、鏡のように他人の中に自分を見たり、自分との違いを認識したりすることで人間関係の理解、治療などがおこなわれます。

カウンセリングに対する先入観をなくし、利用しやすくするためにもグループ・カウンセリングは役立つと思います。

【エンカウンター・グループ】

エンカウンター・グループとは、アメリカのC.ロジャーズによって始められた集団的グループ体験の一つです。

エンカウンターとは、「出会い」という意味を指します。10人前後の参加者とファシリテーターと呼ばれる促進者1~2人からなるグループで、日常生活から離れた場所で数日間合宿する所から始まりました。

1回につき数時間のセッションを何回か行います。セッションは、たいてい畳の部屋で車座になって行われることが多いです。

それを通して、個人の自己成長・自己開発の促進や、対人関係の改善などを図ることが目的です。

1960年代のアメリカでは産業社会への転換期で、人間性の疎外が問題になった時期に、人間が自分らしく生きるということを目指して、エンカウンター・グループをはじめ、Tグループ、感受性訓練、ゲシュタルト・グループなどの集中的グループ体験が盛んに行われたという歴史的背景があります。

【瞑想】

瞑想にもいろいろと種類があり、超越瞑想(TM)、マインドフルネス瞑想があります。また瞑想法も幾つかあり、黙想、空想、観想、喚想と私の知る限り4つあります。

超越瞑想(TM)はインド人のマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーにより1950年代に知られるようになりました。この瞑想法は毎日2回、マントラ(真言。静かに復唱する単語、音、または語句)を15~20分間心の中で唱えてる瞑想法です。

心を静め、徐々に神経活動を抑え、意識を深みに導くことで、開放された気づきの状態、最高の境地、純粋意識に達することを目的とします。

瞑想法の中の喚想にあたると思います。喚想とは、想い起こすこと。想起することです。つまり、哲学者プラトンの言葉を借りるならば、人間の魂が真の知識であるイデアを得る過程。人間の魂が真の認識に至る仕方を、生まれる前に見てきたイデアを想い起こすことと言っています。

つまり、魂(霊性)との一体化を意味しています。

マインドフルネス瞑想はマサチューセッツ大学のジョン・カバット・ジンにより考案された瞑想法であり、気づきの瞑想とも呼ばれています。マインドフルネスとは、仏教におけるサティ(正念)から、宗教的要素を除きメソッド化した自己啓発や心理療法として用いる瞑想をベースとした、エクササイズでありテクニックです。

マインドフルネス瞑想は、今この瞬間の自分の体験に注意を向けて、現状をあるがままに受け入れることです。

また、特別な形で意図的に、評価や判断とは無縁に注意を払うことです。瞑想法の中の観想にあたるかと思います。
観想とは、自己の心情についての真の姿を捉えようと、心をしずめて深く思い入ることです。

【催眠】

催眠には3つの種類があります。

1つは、催眠術のように人を催眠で操るような催眠ショーです。これは、テレビや舞台で行われる、一種のマジックショーのようなもので、種や仕掛けがあるものとされています。

人は簡単に人の思い通りに操ることができてしまったら、とても怖いし大変な事です。人には防衛機制という働きを持っています。ですので、そう簡単に人を思う通りに操ることなど出来ません。

2つ目は、世間でよく聞かれるかもしれないヒプノセラピー(催眠療法)と言うものです。

これは古典催眠といわれ、催眠と暗示、そしてイメージを用いて、人の潜在意識にダイレクトにコミニケーションを取ることで、心に肯定的な変化を促すことができるセラピーのことを言います。

3つ目は、エリクソン催眠と呼ばれるもので、現代催眠と呼ばれています。

一般の催眠では、スクリプトを利用した催眠誘導を行い、被験者の被暗示性によって催眠に入る人と入らない人がいると考えます。エリクソン催眠では、被験者ごとに適した誘導法を行えば、全ての被験者を催眠へ誘導することが可能としました。

また、一般の催眠では強い暗示を与えるには、深い催眠状態が必要であると考えますが、エリクソン催眠では、浅い催眠状態でも強い暗示による変化を与えることが出来るとしました。

M.エリクソンの行った催眠は、誘導→深化といった課程にとらわれないもので、特に晩年は催眠なのか催眠ではないのか判らないような、一般の催眠と言う定義では収まらない領域へと発展進化したため現代催眠とも呼ばれ、それまでの催眠とは区別されています。

エリクソン催眠から派生したものとして、NLP(神経言語プログラミング)やソリューション・フォーカスト・アプローチ(SFA)等があります。
また、催眠状態と瞑想状態は非常に似た無意識レベルでのアプローチを行っている様に感じます。

催眠は西洋的であり、瞑想は東洋的で、起原は違いますが考え方やアプローチの仕方が似ているのではないかと思います。

【音楽療法】

音楽療法とは、自然界に存在する全ての生き物や物質からは音が出ていると考えます。

人は通常、下は20Hz程度から、上は(個人差がありますが)15kHzないし20kHz程度までの鼓膜振動を音として感じることができ、この周波数帯域を可聴域と言います。

通常、人間のアルファ波は、8Hzから14Hzの周波数の領域が含まれていると言われています。アルファ波が出ているときは、リラックスできているときで自律神経のバランスを整える働きがあるとされています。

そんなときは自然界に出かけて、自然音楽を聴くことで心身のバランスを整えることが出来るでしょう。

【表現療法】

表現療法とは、非言語でクライエントが表現した絵画や小説、あるいは詩歌、演劇、舞踊など、一般的には「芸術」というジャンルを心理療法に応用した芸術療法から始まりました。

しかし、必ずしも「芸術」にとらわれる必要はなく、クライエントが作成した全ての作品を指して「表現療法」と称すると思います。

さまざまな芸術的活動によって内的な世界を表現し、心理的問題の解決を目指す表現療法の1つです。これら表現療法は、言葉に頼らない自己表現だけでなく、昇華の役割を果たす場合も多いです。

近年注目されている芸術療法として、コラージュ療法があります。コラージュ療法では、さまざまな雑誌や新聞を切り抜き、それを台紙に貼り付けてコラージュ作品を作ります。

他の表現療法として、治療者の指示に従って画用紙に風景を書き込んでいく風景構成法(風景構成法はアセスメントとしても用いられる。)、サインペンなどでなぐり書きを行うスクリプト法、スクイッグル法などがあげられます。

またカラーセラピーなども、表現療法の一つです。