【小説】夏祭り 第5話

サツキと一緒に、金魚すくいの屋台へと向かったハヤトは
屋台まで来ると屋台のおじさんに、こう話し掛けた

「すいません…」「ふたり分の網(ポイ)を…」
こうハヤトが屋台のおじさんに話し掛けると、屋台のおじさんはハヤトに向かって

「お、若い衆」「今日は彼女とデートか…」
そう屋台のおじさんは、二人に向かって言ったのだ

その時、ハヤトは何と答えたら良いか迷った
するとサツキは、屋台のおじさんに向かってこう答えたのだ

「わたし達、幼馴染なんです…」「今日は昔みたいに、デートかな…」

サツキの此の言葉を聴いたハヤトは
サツキが自分の事を幼馴染として見ているのか

其れとも、ひとりの男性として見ているのか、とても気になったのだ

そして屋台のおじさんから渡された
金魚すくいの網(ポイ)と椀を、ハヤトがサツキに手渡すと

サツキはにっこり笑い、嬉しそうな顔をしたのだった
其のサツキの表情を見て、ハヤトはサツキにこう言ったのだ

「よーし、サツキ…」「昔みたいに、金魚すくい勝負だからなぁ…」

そうハヤトがサツキに言うと、サツキもハヤトに向かって
「わたしも、ハヤトくんに」「負けないんだから…」

此の時、ハヤトは幼い頃にタイムスリップしたかの様な錯覚に陥ったのであった

つづく…

【小説】夏祭り 第4話

サツキから、金魚すくいの誘いを受けたハヤトは、ドキドキしながらも
サツキの横に並んで、一緒に屋台へと向かった

するとサツキが、ハヤトにこう言ったのだ
「ハヤトくん…」「ハヤトくん、昔から金魚すくい上手だったよねぇ」

そうサツキが言うと、ハヤトは少し照れながらサツキにこう言った
「サツキ…」「サツキの方こそ、成績良いし運動も出来るから…」

ハヤトがこう言うと、サツキはハヤトの顔を見つめ
「ハヤトくん…」「折角のお祭りなんだから、学校の話は…」「わたしとじゃ、嫌だったかなぁ…」

ハヤトは焦って、サツキにこう言葉を掛けた
「そんな事ないよ、サツキ…」「ごめん…」

そうハヤトが言うと、サツキはちょっと笑いながらハヤトにこう言ったのだ
「ハヤトくん、冗談よ…」「でもハヤトくんが」「わたしの事、どう思って居るか知れて嬉しいな…」

こうサツキがハヤトに言うと、ハヤトも嬉しくなったのだ
其れはサツキが、自分の事を気に掛けてくれて居ると、分かったからだ

こうして二人は屋台まで、話に花を咲かせ向かったのだ
其れはまるで、周りから見ると恋人のように見えたのだった

つづく…

【小説】夏祭り 第3話

幼馴染のサツキから渡された草履を
僕はドキドキしながら直していると

サツキから、こんな言葉を掛けられたのだ
「ハヤトくん…」「ハヤトくん 私のこと、学校で避けてるでしょ…」

こう言ってサツキは、僕の顔を覗き込んだのだ
僕はドキドキしながらも頭の中で、何と答えたら良いか言葉を探した

そしてサツキに、こう言ったのだ
「サツキ…」「サツキは、クラスの人気者だからさぁー」「話し掛けにくいんだよ…」

そうハヤトが言うと、サツキは僕から草履を受け取り
嬉しそうな顔をして、こう言ったのだ

「ハヤトくん…」「やっぱりハヤトくんって、手先が器用なんだ…」
此の時、僕は嬉しかった

其れは幼い頃、一緒遊んだ時の事を
サツキが覚えてくれて居ると、思ったからだ

僕は試しに、サツキにこう言った
「サツキ…」「何で知ってるんだよ…」

ハヤトがサツキにこう言うと、サツキは嬉しそうにこう言ったのだ
「ハヤトくん…」「昔、一緒に折り紙したでしょ…」

此の言葉を聴いて、ハヤトは嬉しくなったのだ
するとサツキはハヤトに向かって

「ハヤトくん…」「昔みたいに、一緒に金魚すくいしようよ…?」
僕は友達との約束が気になったが、こう言ったのだ

「サツキ…」「わかったよ、サツキには負けないからな…」
そう言うとサツキは、にっこり笑った

藍色の浴衣と髪を結い上げたサツキの姿は
とてと新鮮で、見惚れてしまった

つづく…

【小説】夏祭り 第2話

友達と約束した花火大会に向かう途中
僕は幼馴染の女の子と遭遇した

そして彼女から声を掛けられたのだ
彼女の名前はサツキ、小学生時代からの幼馴染だ

サツキは花火大会の今日、浴衣姿に草履を履いて来ていたのだが
草履の鼻緒が切れ、僕に助けを求めて来た

彼女の視線を感じた僕は、頭の中が真っ白になりながらも
彼女の方へと人混みを掻き分け、近づいて行ったのだ

するとサツキからこんな言葉を掛けられた
「ハヤトくん、久しぶり…」「わたしの草履の鼻緒が…」

そう言うとサツキは僕に、自分の履いていた片方の草履を、僕に手渡したのだ

僕は草履の切れた部分を観て、サツキにこう言った

「サツキ…」「慣れない草履、履いて来るからだよ」「しょーがない…」

こう言って僕はポケットからハンカチを出し、鼻緒の切れた部分を直していたのだ

その間、サツキの右手が僕の左肩に寄りかかり
僕の心臓の鼓動はドキドキしていたのだ

そして此の鼓動をサツキに気づかれないか
僕は気が気ではなかった

つづく…

【小説】夏祭り 第1話

今でも忘れられない
あの夏の日の出来事を

僕は今でも思い出すんだ
そう、あれは高校三年生の頃の出来事だ

何時もの僕は友達誘われ
近所で行われる花火大会へと向かった

お祭りの屋台でごった返すひと達を尻目に
僕は友達と約束した、八代神社の一本杉へと急いだ

其の途中で僕は、同級生の女の子を見かけたんだ
その子は僕と幼馴染の女の子で

僕と違って友達皆んなから慕われ
皆んなが憧れる、そんな存在だった

だから僕は、同じ高校に通って居たけど
高校に進学してからは、話し掛けるのにちょっと悪い気がしたんだ

今日は花火大会でお祭りと言うこともあり
彼女は浴衣に草履姿と、いつにも増して艶やかな姿だった

すると彼女の草履の鼻緒が切れ
困った表情を彼女は浮かべて居た

僕は彼女に声を掛けていいのか迷った
そんな彼女は僕を見つけて

救いを求める眼差しをしたんだ
僕は胸がドキドキして

頭が真っ白になってしまった

つづく…