アサーション・トレーニングは、1950年代のアメリカで対人関係が上手くいかないことで悩んでいる人や、自己表現が下手で社会的場面が苦手な人のためのトレーニング方法として開発されました。
そして、1960年代からの人種差別撤廃運動やウーマン・リブ運動などの人権回復運動を背景に発展し、現在では面接試験での自己PRや職場での人間関係の向上、人材育成など、さまざまな場面で活用されています。
私たちは、毎日さまざまな人と接しています。その中で自分の本心を口にしたり、権利や意見を主張したり、他人を褒めたり、感情を豊かに表現するなどの「主張反応」には、対人関係の不安を抑える働き(不安制止)があります。
逆に、言いたい気持ちを抑えるなどの消極的・非主張的な傾向は、対人関係の中で誤解を生じさせるだけでなく、不安や劣等感、自身のなさ、「どうせ言っても分かってもらえない」といったあきらめの気持ち、「人の気も知らないで」「譲ってあげたのに」といった恨みがましい気持ちに繋がります。
これらのストレスは、私たちが考えている以上に大きく、それが溜まると八つ当たりなどの不適切な言動となってあらわれて人間関係のトラブルを引き起こしたり、また、抑うつ・不安・頭痛・対人恐怖などさまざまな症状の原因ともなります。
主張訓練法では、対人関係で生ずる敵意・攻撃・不満など対立的な主張を相手に受け容れられる形でしていくための訓練が主に行われます。その際にはアサーティブ(主張的)な対人関係の習得が目的です。
アサーション・トレーニングでは、クライエントが問題としている対人関係の具体的な場面、出来事、その時の感情、実際にとった行動、その出来事に対しての態度などを見つめ直し、具体的にどのように対応するのがアサーティブなのかを一緒に考えます。
そして、アサーティブな行動を観察したり(モデリング)、その役割を演じてみること(ロールプレイ)により、新しいアサーティブな行動を学習します。