行動療法とは、問題行動を誤った学習によるもの、あるいは適切な学習がなされていないものとみなし、条件づけなどの学習理論を用いて、不適切な行動の消去と適切な行動の獲得を目指す心理療法です。
例えば、満員電車に対して恐怖を抱く場合は、満員電車と恐怖反応が条件つけられていると考えます。そこで行動療法は、学習理論を用いて不適切な行動を消去し、適切な行動を学習することを目指します。
精神分析を批判し、科学的な臨床心理学の確立を目指したアイゼンクにによって定義づけられました。
■レスポンデント条件づけに基づく技法
①系統的脱感作法
ウォルピによって開発された最も代表的な行動療法です。不安障害に有効とされています。
●事前準備
リラックス状態を作り出すための弛緩法を身に付ける。また、低次な不安から高次な不安まで一覧にした不安階層表を作成する。
●実践
不安をイメージした後に弛緩法を実践して、不安とリラックス状態を条件づけ、不安の解消を図る。不安階層表の低次な不安から高次な不安へと、順番に条件づけていく。
②暴露法(エクスポージャー)
基本的に系統的脱感作法と同じです。不安場面をイメージするのではなく不安場面に直接さらして、不安場面に慣れさせる点、弛緩法よりも不安場面からの回避行動を減らすことを重視する点が異なります。
なお、最大級の不安にいきなり直面させることをフラッディングと言います。不安場面を直接経験させるため、クライエントの回避行動を制限する必要がある反面、安全の確保にも留意する必要があります。
③暴露反応妨害法
強迫性障害に対して用いられることが多いです。強迫行為を禁じることで、強迫観念から生じる不安に徐々に慣れさせていく手法です。
■オペラント条件づけに基づく技法
④シェイピング法
一度に獲得することが困難な行動に対し、細かい達成目標を設定し(スモールステップ)、達成するたびに強化を与え、徐々に目標行動に接近させていく手法です。
⑤トークン・エコノミー法
適切な行動にトークンという擬似貨幣を与えることで、その適切な行動を強化していく手法です。子供の行動変容と支援に用いられることが多いです。
⑥タイムアウト法
問題行動後に誰もいない部屋に移動させるなどして、正の強化を受けないようにする手法です。教室内で子供が他の子供を叩いたとき、それで教室内が騒ぎになると「騒ぎになった」という事実が叩く行為を強化してしまう場合があります。
そこで、部屋から出すことで正の強化を防ぎます。
⑦嫌悪療法
アルコールを接種したら嘔吐剤などを飲ませるなどして、特定の行動に対して罰となる刺激を与え、その行動の消去を目指す手法です。
【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社