【ゲシュタルト療法】

ゲシュタルト療法とは、フリッツ・パールズによって創始されたヒューマニスティック心理学の心理療法の1つです。

ゲシュタルト療法の基本理念は「気づき」です。「気づき」とは「今、ここ」で身体の内部で起こっていることを感じ、意識することでり、それは常に「今、ここ」で起こるものです。

ゲシュタルト療法では、決まりきった習慣や価値観などを変化させるには、新しい気づきが必要であると考えます。

伝統的な心理療法でよく強調されるのは、現在の問題には過去に原因があるという見方ですが、それに対してゲシュタルト療法では、「今、ここ」の時点まである問題を保持していると捉えます。

クライエントが瞬間瞬間の自分の真実を知ることで意味づけされた「観念としての自己」ではなく、「生きて体験している自己」として生き、自分の中の相反する様々な側面をも統合するために「今、ここ」で「気づき」を起こすことによってより統合された自己を確立していきます。

また、ゲシュタルトとは全体性のことを意味します。排除されていた自己の部分を統合し、全体性の回復を重視する心理療法です。

過去の体験や生育歴ではなく「今、ここ」で体験している自己の統合を目指します。代表的な技法にエンプティ・チェアがあります。空の椅子にもう一人の自分を座らせて、架空の会話を行います。

会話の中から、自分の気づいていなかった「今、ここ」の自分の姿に気づき、自己を統合させていきます。



【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社