フォーカシングはロジャーズの共同研究者であるジェンドリンが創始した心理療法です。何を言いたいか言えない時に「のどに何かがつっかえているような感覚」を感じたことは、何か問題が解決していない時に「胸のあたりにもやもやした感覚」を感じたことはないだろうか。
フォーカシングでは、このような漠然とした言葉にできない感情が身体感覚として体感されると考えられています。この身体感覚をフェルト・センスと言います。不適応状態にあるクライエントは、このフェルト・センスを表現することができず、感情の流れが滞っています。
だが、クライエント自身がフェルト・センスに気づいてその理解を深め、言葉などによって表現(取っ手・ハンドル)することが可能となれば、滞っていた感情の流れが自己を成長させる方向へ向かって流れていきます。
このことを、フェルト・シフトと言います。フォーカシングは、クライエントがフェルト・シフトに至る過程を援助すると言い換えることもできます。
フォーカシングは、ロジャーズに代表される人間性心理学の観点からアプローチする心理療法の1つです。
【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社