【交流分析(TA)】

交流分析はエリック・バーンによって開発された対人関係に関する理論と、それに基づく心理療法です。理論上は精神分析から出発していますが、他者との交流を積極的に求める人間観や「今、ここ」を重視することにより、人間性心理学の中に位置づけられることが多いです。

交流分析では、人に「親の心・大人の心・子供の心」という3つの心があると仮定します。さらに、親の心が2つに、子供の心が2つに分類され、以下の5つの心に分類されます。

①批判的な親の心(CP)規律・道徳を重んじる。
②養育的な親の心(NP)保護・優しさを重んじる。
③大人の心(A)現実的な判断・理性を重んじる。
④自由な子供の心(FC)自由・開放を重んじる。
⑤順応した子供の心(AC)適応・協調を重んじる。

これらの5つの心は、エゴグラムという質問紙で測定できます。その結果で、対人関係においてどのような側面を重視しているかがわかります。これを構造分析と言います。

構造分析をもとに、人が強迫的に従ってしまう対人関係の様式を発見し、新しく適切な対人関係の様式を再構築することが、交流分析の目的でもあります。

対人関係に注目した心理療法は交流分析だけではありません。ここでは主に集団療法と心理劇に注目します。

■4つの分析
①構造分析
人の心の仕組みやあり様を分析し、各人のパーソナリティの特徴を明らかにします。

②交流パターン分析
二者間の交流パターンを分析し、コミュニケーションの実際を探ります。

③ゲーム分析
交流分析では、幼少期に親や身近な人たちとの関係の中で培ったトラブルのパターンを「ゲーム」と呼びます。ゲーム分析では、自分の持つゲームを分析し、無意識に何度となく繰り返すゲームからの脱却を目指します。

④脚本分析
交流分析では、人生を1つのドラマとして捉え、人はそのドラマの脚本を人生早期に作ると考えます。そして、この脚本に基づいて人は人生の重要な場面での行動を決定すると考えます。脚本分析では、この脚本を分析し、それがネガティブなものである場合には、より良い脚本に書き換えることを目指します。