【精神分析療法】

精神分析療法はJ.フロイトに創始された心理療法で、問題行動の原因を無意識に抑圧された心的外傷体験と考え、心的外傷体験の意識化と徹底操作(後述)による自我の強化を目指す心理療法です。

①自由連想法
クライエントは寝椅子に横になり、分析家はクライエントから見えない位置にいます。そして「頭に浮かんでくることを、批判や選択をしないでそのまま話してください」と指示する。

この一連の流れを自由連想法と言います。

②解釈
自由連想法で話された内容には、クライエントの無意識が反映されていると考えます。特に自由連想法の途中に、沈黙という形で抵抗を示した場合は、無意識に隠されている恐怖や欲望への到達を拒んでいると考えられます。

また、分析家への転移が生じることもあります。このような抵抗や転移に対して、解釈を与えていきます。

解釈の方法としては、直面化と明確化があります。直面化とはクライエントが回避している考えや感情を分析家が言語化して、クライエントと向き合わせることを指します。

明確化とは、クライエントが語った内容を簡潔な言葉で言い返すことで、クライエントの自己理解を援助することを指します。

③徹底操作
上記のような関わりの中で、クライエントは過去の心的外傷体験を想起する(治療的退行)。そして、無意識に抑圧された自身の欲求や感情を理解していく。このことを洞察といい、洞察と解釈を繰り返して行くことを徹底操作と言います。

徹底操作により自我が強化され、意識化された心的外傷体験・欲求や感情を、自身で制御できるようになります。

なお、自我が強化された状態とは、「高い現実検討能力」「分裂することなく一貫した自我同一性」「昇華など適切な防衛操作が可能」という状態を指します。

精神分析療法は、週に3~5回・各50分のセッションを数年間に続けるという長期治療が必要とされています。そのため現在は、対面式で週1回などの簡易型の精神分析療法が広く行われています(精神分析的心理療法と区別する場合もあります)。

最後に、夢分析を簡単に紹介します。夢分析とは、クライエントが言語化可能な健在夢を手がかりにして、抑圧された欲望が反映された潜在夢の内容を解釈し、無意識の意識化を目指すものです。



【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社