質問紙法と投影法は、互いに欠点を補い合う関係にあるため、テスト・バッテリーとして用いられることが多いです。以下にそれぞれの特徴を整理します。
■客観性
①質問紙法
統計的処理による客観的解釈が可能です。検査者間で解釈がずれることがありません。
②投影法
検査者の主観的解釈により、検査者間で解釈のずれが生じる可能性があります。
■集団実施
①質問紙法
可能です。
②投影法
基本的に個人検査です。
■検査者の熟練
①質問紙法
手続きが厳密に標準化されているため、熟練は不要です。
②投影法
実施・分析ともに熟練を必要とします。
■所要時間
①質問紙法
比較的短時間です。
②投影法
比較的長時間です(負担が大きい)。
■測定水準
①質問紙法
意識水準を測定。「自分が意識している自分」が測定されます。
②投影法
無意識水準まで測定。「自分が意識していない自分」まで測定されます。
■回答操作
①質問紙法
検査の意図が推測されやすいため、社会的望ましさや防御的態度による回答の歪みが生じやすいです。
②投影法
検査の意図が推測されにくいため、回答の歪みが生じにくいです(だが、この点が被検査者の負担をより大きくしています)。
【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社