MMPI(ミネソタ多面的人格目録)とは、ハザウェイとマッキンレイによって開発された質問紙法です。質問紙法は、あらかじめ用意された各質問項目に回答者が「あてはまる-あてはまらない」などを回答することにより、性格特性を把握しようとする検査です。
■質問紙法の利点
①統計的処理による客観的解釈
たとえば各質問項目の回答について「はい」を2、「どちらともいえない」を1、「いいえ」を0とするなどして、数量化が可能です。数量化によって統計的な処理が可能となり、客観的なデータが得られます。検査者の主観は入りにくいです。
②集団実施が可能
必要に応じて多人数に質問紙を配布し、同時に実施することが可能です。
③検査者の熟練に左右されにくい
実施方法はマニュアル化されており、検査者の熟練によって結果が左右されにくいです。
■質問紙法の欠点
①無意識的側面がとらえられない
自分が「自分のことをどう思っているか」をもとに回答するため、自分の知らない自分、つまり無意識的な側面は回答に反映されにくいです。
意識している自分の姿が反映されます(そしてその「意識している自分の姿」が、現実の自分の姿と完全に合致している保証もないです)。
②回答のバイアスが生じやすい
自分をよく見せようとしたり、社会的に望ましい回答を選んでしまったりなど、回答の歪み(バイアス)が生じる可能性があります。
③言語能力に依存
質問項目を正しく読みとることができなければ、適切な回答をすることができない。そのため、一定の言語能力を必要とします。
健常者と精神疾患をもつ者で有意差があった質問項目で構成されています。臨床現場で多く活用されています。
妥当性尺度を持ちます。自分をよく見せようとしていないか調べる質問や、めったに「はい」と答えることがない質問に「はい」と答えているかなどを調べ、回答の歪みや虚偽・脚色、精神的な混乱などがないかをチェックします。
「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3件法です。ただし、「どちらでもない」は10個以下にするように教示されます。
550の質問項目、10の臨床尺度と4の妥当性尺度で構成されます。質問項目が多く、実施に時間がかかります。
【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社