「失語症」とは、脳血管の障害や事故などにより、大脳の言語野が損傷され、言語活動が困難になる状態を指します。
同様に言語活動が困難になる状態に転換性障害による失声がありますが、転換性障害は脳の障害が認められず、心理的な原因で生じている(心因)点で異なります。
また失語症は、遺伝性(内因)などの生まれつきの障害や発達障害でもありません。元々は困難なく言語を用いていたが、明らかな脳のダメージによって(外因)、言語活動が困難になる場合を指します。注意して区別する必要があります。
失語症は、前頭葉のブローカ野の損傷によって生じる運動性失語と、側頭葉のウェルニッケ野の損傷によって生じる感覚性失語に大きく2分されます。そして運動性失語は、言語を理解していますが、発音や流暢さに困難を示す状態で、感覚性失語は逆に発音や流暢さはよいが、言語理解に困難を示す状態です。
たとえば子供の運動性失語の場合「えっと…月曜日…ママと…スーパー…えっと…買い物して…」と言った様子だが、感覚性失語の場合、ミカンが食べたい時でも、「ママ、ミンカが食べたい」と言葉を言い間違えてしまったり、「ママ、バナナが食べたい」と別の食べ物と言い間違えたりするケースが御座います。
【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社