「トゥレット症候群」とは、チックとは異なり脳の機能障害であり、トゥーレット症候群やトゥレット障害と呼ばれる場合があります。
2005年に施行された発達障害者支援法では、発達障害を「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、LD(学習障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」としています。
トゥレット症候群は、「その他これに類する脳機能障害」に含まれます。トゥレット症候群は、自閉症やその他の発達障害と同様に正しい理解と支援を必要とする障害です。
日本では認知度も低く、トゥレット症候群を診断できる医師も少ないのが現状です。周囲の理解がないために、誤解されて悩んだり、症状を悪化させたりしているクライエントさんがたくさんいるのが現状です。
また、男児の方が女児に比べて発生率が高いと言われています。
主な症状にチックがありますが、かつてチックはストレスや不安が原因で起こると考えられていたため、トゥレット症候群の発症を「母親の愛情不足」や「育て方に問題がある」など誤解されることが多かったです。
しかし、トゥレット症候群は、脳内神経伝達物質のドーパミンの過剰活動が原因とされていて、育て方や親の愛情は全く関係ありません。
トゥレット症候群は平均して6~8歳ぐらい、遅くても14歳ぐらいまでに発症します。
まばたき・首を振るなどの単純チックの症状から始まり、咳払い・鼻ならしなどの音声チックの症状、さらに不謹慎な言葉を無意識に言ってしまう複雑チックの症状が出るようになります。
他の障害を併発する場合も多く、ADHD(注意欠如多動性障害)や脅迫性障害は、特に多い併発症とされています。
その他、LD(学習障害)・睡眠障害・気分障害などがみられます。
診断としては、症状と経過をみて診断が行われると思われます。さまざまな運動チックと1つ以上の音声チックが長期に渡り続く場合に、トゥレット症候群と診断される可能性が高いと思われます。
抗ドーパミン作用の強い神経遮断薬などの薬を服用して、症状を改善させることも必要ですが、それと共に早めに適切な療育を行うことは、非常に重要となるでしょう。
薬物療法や併発症に応じた療育を行う場合もあります。
トゥレット症候群の症状は、改善したり悪くなったりを繰り返しながら10歳代後半には改善する場合が多いのですが、完全に治癒することは難しいかも知れません。
ですので、「治る」「治らない」ではなく、トゥレット症候群のお子さんの一人ひとりの特性を尊重し、周りへの理解と暮らしやすい環境つくり、そして困難を軽減していけるようなサポートをカウンセリングを通して、トゥレット症候群のお子さんやご家族へして行けたらと考えております。