【PTSD(心的外傷後ストレス障害)】

「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」とは、1975年頃のアメリカの「ベトナム戦争」で帰還した兵士に多く現れた症状として有名になった障害です。

障害や虐待、レイプや交通事故の被害者や目撃者、殺人被害者の遺族、また最近では自然災害(地震・津波など)の被害者などの体験が原因となって現れる精神的後遺症です。

上にあげた、自らの処理能力を超えるような強烈な体験をした場合、心はその体験から自らを守るために、嫌な記憶を冷凍してしまう機能を持っています。

とりあえず、忘れ去られた記憶は時間の経過とともに変化することなく眠っています。しかし、時間が経過した後に、何らかの理由で冷凍されていた記憶が解けた場合、非常に生々しい形で心の中に戻ってくることがあります。

症状は、激しい恐怖感や無力感、悪夢やフラッシュバック(過去と同じ出来事の再現)、感情が萎縮することによる極度のうつ病、睡眠障害、易怒性、集中困難、過度の警戒心・驚愕反応・生理的反応などです。

カウンセリングとしては、クライエントさんに対して、同じ境遇の方たちが集う場(エンカウンター・グループ)を設けて、同じ事件の被害者、同じ境遇の経験者がグループになってその体験を語り合い、クライエントさんたち各々が、自分の症状を客観的に見ることができるよう訓練する場所を提供する必要があると思っております。

そして、フラッシュバックがPTSDの疾患による現象だと認識し、その症状に悩んでいるのは自分だけではなく、またそれが特殊なことでもないということを知ることで、孤独感を軽減させることができると思います。

また、カウンセリングとしてその他の方法としては、「自己受容」のトラウマワークを検討に入れております。



【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社