【統合失調症】

「統合失調症」とは、思考、感情、行動の大きな混乱を特徴とする障害です。

100人に1人が「統合失調症」にかかっていると言われています。妄想、幻覚、顕著な思考過程、奇異な行動などが見られたりします。男女比に差はなく、多くは20歳前後に発症することが多いと言われています。

統合失調症の症状は多岐にわたっています。例えば、「TVや新聞に嫌がらせをされている」など現実離れした不合理な「妄想」、実在しない対象を知覚する「幻覚」(特に幻聴)、自分が他人に操られているという「させられ体験」(能動性意識の障害)、妄想や幻覚にとらわれて異常に興奮する(精神運動性興奮)などがあります。

また、反対に周囲に全く関心を示さなくなったり(昏迷状態)、身体が同じ姿勢のまま固まる(カタレプシー)、観念と観念のつながりが弛緩して(連合弛緩)、話が支離滅裂になることがあります。

そして、病気が進行すると、外界への関心や生き生きとした感情や生きる意欲を喪失(感情の平板化)していきます。大きく分けて陽性症状と陰性症状と解体症状の3つがあります。

陽性症状が主体の妄想型、解体症状が主体の解体型(破瓜型「はかがた」)、強い緊張などの運動・行動異常が主体の緊張型の3つの下位分類があります。

①陽性症状
機能の過剰と歪みを主な特徴とします。
幻想、幻覚、顕著な思考過程、奇異な行動などで、発症初期の急性期に多く見られます。

②陰性症状
活動性の欠如と行動欠損を主な特徴としています。
意欲喪失、感情の平板化、無論理的思考などで、急性期後に訪れる慢性期に多く見られます。

③解体症状
まとまりのない会話(解体した会話)と行動を主な特徴としています。
聞き手が理解できるように話すことが困難になることです。

【妄想型】
30歳前後に徐々に発病し、妄想や幻覚を主症状とし、感情や意欲の障害は少ない。

【解体型(破瓜型「はかがた」)】
10代後半から20代前半にかけて徐々に発病し、初めは不眠や疲労感から始まり徐々に周囲への関心を失い感情が平板化していく。

【緊張型】
解体型(破瓜型「はかがた」)とほぼ同じころに、急性に発病し、激しい衝動性や興奮を示したり、逆に昏迷状態に陥り一切の自発的行動を示さなくなる。原因として、未だに特定されていませんが、複数の因子が関与していると思われます。

①二重拘束説
逃れられない矛盾するメッセージを突きつけられることにより、統合失調症が発症するという説です。

②脆弱性ストレスモデル
遺伝子にもつ中枢神経の脆弱性に過度のストレスが加わることにより、統合失調症が発症するという仮説です。

③ドーパミン説
神経伝達物質のドーパミンの過剰分泌によって統合失調症が発症しているという仮説です。

カウンセリングでは、統合失調症は「内因性精神障害」となりますので、カウンセリングだけでは必ずしも解決できる問題ではないと考えております。慢性期に訪れやすい陰性症状に対して、社会復帰に向けたSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などの介入が有効になるのではないでしょうか。

また、家族の理解と支援を得るため、家族へのサーポートも必要になってくるでしょう。ですので、「精神科・心療内科」にかかり、同時にカウンセリングも受けて頂くのが望ましいと思われます。

カウンセリングでは、クライエントさん自身の物の捉え方、考え方を改善すると言うより、その人が持っている特性を尊重し十分理解して、どのようなアプローチをしたら、クライエントさんが社会生活や社会復帰できるかを一緒になって考えていきたいと思っております。



【参考文献】
宮川 純『臨床心理士 指定大学院対策 心理学 編』河合塾KALS監修 講談社