【新型うつ病】

「新型うつ病」とは、万能感が強いパーソナリティ傾向の人が、職場等の問題で回避的になる抑うつ症状に対して現在つけられることの多い病名ですが、学問的に認知された正確な疾患名ではありません。

バブル崩壊以降、日本社会の経済的不安定化とそれに伴う職域社会での激務等とともに、このような病名をつけられるクライエントさん(特に20代から30代の若手社員を中心)が増えてきたと言われています。

新型うつ病は、うつ病ではなくて、本人のパーソナリティの傾向に起因することが多いと言われており、単なる「抑うつ状態」であるとも言われています。

その特徴は、「他罰的であり、内省的な傾向が弱く自己愛的かつ回避的で、他人からの評価をひたすら気にする」とされています。

このような傾向性を持ったパーソナリティの人々が、現在増加している点に留意する必要があると思います。

また、これらの人々の持つパーソナリティの傾向性の共通項として、特に自己愛への執われの強さを取り上げ、こうした傾向の病理を「我執の病理」と命名されることがあります。

新型うつ病は、一見従来のうつ病とは異なりますが、実は神経質の傾向性を持つパーソナリティの病理で、非定型郡に収まるものと推測されます。

神経質の診断基準では、性格特徴の側面で強迫性、強力性の項目が特定できないこと、それでもうつ病圏に属し、社会的、職業的、また学校の機能における中程度の困難が示されています。

なお、カウンセリングでは、強迫性、強力性が特定できないことが、回避的であり、回避的パーソナリティ障害の傾向もあることも推測しておく必要があります。

カウンセリングとしては、クライエントさんの「強迫観念」にアプローチして、「とらわれ」からの解放すると言ったアプローチが有効ではないかと考えられます。