【森田療法(破)】

「いま」「ここ」に生きる

人間は”苦悩存在”といわれるように、生きている以上、何らかの苦悩を引き受けながら生きなければならないのである。
また、病むことなく生きるということもあり得ず、刻一刻と老いていく道を歩んでいるのであり、そして死に至る存在である。

このような事実、あるいは現象から、人間が逃れられないとすれば、それもまた「あるがまま」に受け入れるしかない。
そうしたことを受け入れればこそ、「今」「ここ」に生きる現実が、より大切な時間・空間として我々の前に現前してくるのである。

そのとき、我々は何らかの生きている意味を見つけ、人間として有意義な生き方をしようという「目的本位」の行動の重要さを自覚させられる。

わたしは、過去における自分自身の「とらわれ」から脱しようと努めた体験と、「あるがまま」にの認識を通して、自己の欲望を真に生かし、目的本位の行動をまがりなりにも取れるようになったことを、自己の人生の経験の中で非常に重要なことであったと信じております。