【森田療法(序)】

人間の欲望には二面性がある。

より楽な方に逃避したいという欲望と、よりよく自己実現したいという欲望である。
前者の欲望をそのままにし、前者の欲望が作り出す症状をそのままにするのが「あるがまま」である。

人間は本来弱い性質を持っていて、誰のこころの中にも楽な方を選びたいという欲望が潜在する。
したがって、自分を豊かに生かしていこうとするためには、そうした欲望を「あるがまま」に認めた上で、自分をよりよく生かしていく方向に踏み切るしかない。

その際に、人間の主体性とどちらを選ぶかという選択の自由が存在するのである。