私にとっての「とまり木の会」とは
皆さんで意見交換することは、それぞれが自分の気持ちや思いを他の方達と共有することで、心理学で言う自己開示(self-disclosure)の場所だと思っております。
自分の情報(感情・経験・人生観など)を他者に言葉で伝えることを示すことが自己開示です。
自分のことを適切に他者に伝えること、また相手もそれに応えて思っていることを語り始め、そういう人間関係が深まっていくことで、「とまり木の会」で日々の暮らしの中で悪戦苦闘している人達が、生き生きと語り合える場所であり続けるのが、この「とまり木の会」ではないかと思います。
自己開示には、感情を吐き出すことで浄化したり、話すうちに自分の意見や態度が明確にまとまったり、自分の能力や意見の妥当性を皆さんと共有して評価してもらったり、意見してもらえる場所であり、そうしたサロンであると私は思っております。
一般財団法人 尚徳学園としての「とまり木の会」とは
日本の皆さん、今、私たちは大きな社会の変動期を迎えています。特に高齢を迎えた方々は孤独になり、年金問題、核家族時代をむかえて先の見えない人生の飛行を続けています。
私たち日本人は、渡り鳥のように人生という大空を飛んでいます。 親鳥の巣を離れてもう長く時が経ちました。今は、元気に飛んでいても、何時、何が起こるか分かりません。 事故に合うか、病にかかって海に落ちるか分かりません。
人は誰もがこの未来を考えることが恐ろしいので、忘れるためにゲームにのめりこみ、 歌い、踊り、落語を聞き、映画を楽しみ、スポーツに興じています。 しかし、真実はただ一つ、誰もいつか必ず歳をとり、空を飛べなくなり、「とまり木」が必要となるのです。
私は医学生として北朝鮮で終戦を迎え、死線を越えて、祖国に帰国しました。医療哲学の為にドイツに留学し、帰国後、聖マリアンナ医科大学で精神療法を研究し、日本社会事業大学大学院、聖学院大学大学院などで医学、歯学、社会福祉の学生に生と死について教えてきました。
川崎いのちの電話や日本医学哲学・倫理学会を創立して理事、名誉会員となり、87歳を迎えております。多くの親族、友人、同僚があの世に旅立ちました。一人の日本人として、皆様に渡り鳥の「生き方、死に方」を考える会「とまり木の会」を始めようと思います。空を飛ぶのを少しの時間休んで、サロン形式で一緒に話し合いませんか。
実は、約10年前から、この会をSDH(サロン・ド・ヒューマニティ)の会の名前で、毎月一回本学園の分院で始め、有意義な楽しい時を過ごしています。
この度、会の名前を分かりやすい日本語に変えて「とまり木の会」とします。今後これを日本に増やしていきたいと思います。参加した方は思いと悩みを打ち明け、参加者はそれを聞いて、励ましたり、助けたりします。会には毎回世話人がいますが、まったく自由で、哲学と精神医学、医療と社会福祉がサロンの話題です。
無宗教、神道、仏教、カトリック、キリスト教など色々な方がいますが全くこだわりません。皆様のご参集をお待ちしております。
一般財団法人 尚徳学園 理事長 坂本 尭