【短編小説】夏祭り⑮(最終回)

幼い頃、二人で観た長岡の花火大会の話をして居たハヤトとサツキは
其の当時、ハヤトがサツキに言った言葉を、サツキは覚えていてくれたのだ

そして其の時のハヤトの気持ちが、今でも変わって居ないか、サツキはハヤトに確かめたのだった

ハヤトはサツキが、自分に対する好きだと言う感情が有る事を、確認する事が出来た
すると自分の中に押し込めて居た感情が、言葉として溢れ出たのだ

其の言葉とは
「サツキ、俺もだよ…」「今でもサツキの事、好きだよ…」

此の言葉であった
満天の夜空を染めあげる花火が、二人を照らし

其の輝きと音で、二人の心は突き動かされ
鼓動となって鳴り響いた

もう言葉にする必要も無い、二人は時折見つめ合い、そして花火を眺めて居たのだ

此の夏の花火大会から、ハヤトとサツキの恋は再び始まった
だが、サツキは都会の大学に進学してから、ハヤトとサツキは次第に、連絡を取る事も無くなって行ったのだ

そしてハヤトは親の家業を継ぎ、今では地元の新潟市で、小料理屋を営んで居る
友達の話によると、サツキは東京の大学に進学し、今では結婚して子供も居るらしい

そんなサツキは、僕に初恋を教えてくれた大切な想ひでの女性として、今でも僕の心のアルバムの中にあるのだった

終わり

【短編小説】夏祭り⑭

八代神社の境内から、花火大会の花火を観て居たハヤトとサツキは
花火を観ながら、こんな会話を交わしたのだ

「ハヤトくん…」「昔、一緒に観に行った花火大会覚えてる…?」
こうサツキがハヤトに言うと、ハヤトはサツキに向かって、こんな言葉を言った

「サツキ…」「もしかして、長岡の花火大会に行った時の話…?」
ハヤトがサツキにこう言うと、サツキは嬉しそうに、ハヤトにこう言葉を発した

「ハヤトくん…」「あの時、ハヤトくんが、わたしに言ってくれた事、覚えてる…?」
こうサツキがハヤトに言葉を掛けると、ハヤトはサツキに向かって、こんな風に言ったのだ

「サツキ…」「昔の事だから、覚えて無いよ…」
ハヤトはこうサツキに惚けたのだった

するとサツキはハヤトに向かって、こんな事を言った
「ハヤトくん…」「あの時、ハヤトくんからの気持ち」「今でもわたし、同じだから…」

此の言葉を聴いたハヤトは嬉しくなり、ハヤトもサツキにこう言ったのだ
「サツキ、俺もだよ…」「今でもサツキの事、好きだよ…」

こうハヤトは自分の気持ちを、サツキに伝えたのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑬

八代神社の境内から、花火大会の花火を観る事になった、ハヤトとサツキであるが
二人は幼い頃、一緒に花火をした時の事を思い起こし、こんな会話を交わしたのだ

「ハヤトくん…」「昔、一緒に花火した事、覚えてる…」
こうサツキがハヤトに言うと、ハヤトはサツキに

「サツキ、覚えてるよ…」「一緒に線香花火、競争したよなぁ…」
ハヤトはこう、サツキに向かって言ったのだ

其の時、サツキは嬉しそうに、ハヤトにこう話し掛けた
「ハヤトくん、いっつもムキになって…」「負けたらもう一回、勝負だって言ってたよねぇ…」

此のサツキの言った勝負とは、線香花火の火の玉が
どちらが長く、最後まで落ちずに居るかと言う事を、言って居たのだ

そんな話を、二人で暫くして居ると
二人の目の前に、天高く大きな花火大会の花火が上がった

此れを観てサツキは、ハヤトにこう言葉を掛けた
「ハヤトくん…」「ハヤトくんとふたりで、花火が観られて良かった…」

此のサツキの言葉を聴いたハヤトも、今観ている花火と
幼い頃、サツキと一緒に線香花火をした時の事を重ねて

サツキの事を、とても愛おしく感じたのだ
しかしハヤトはサツキに、自分の此の気持ちをサツキに悟られまいと

自分の心の中に、此の感情を押し込めたのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑫

八代神社まで辿り着いた、ハヤトとサツキは
ユウタが待つ八代神社の一本杉へと向かおうとした

するとサツキはハヤトに向かって、こう言ったのだ
「ハヤトくん…」「わたしは大丈夫だから、先に行って…」

こうサツキがハヤトに言うと、ハヤトはサツキにこう言い返した
「サツキ…」「サツキひとりにして、置いて行けないよ…」

そうハヤトがサツキに言ったのだ
するとサツキはハヤトに、申し訳なさそうに

「でも…」「ユウタくん、待たせちゃてるし…」
こんな言葉をサツキから、投げ掛けられたのだった

ハヤトは此の言葉を聴いて、サツキに向かってこう言った
「サツキ…」「今日の花火大会、此処からふたりで観よう…」

そうハヤトは、サツキに言葉を掛けたのだ
サツキは心配そうに、ハヤトにこう言い返した

「ユウタくんとの約束、大丈夫なの…?」
こうサツキがハヤトに言うと

ハヤトはスマホをポケットから取り出し
ユウタに電話し始めたのだ

そしてハヤトは、こんな言葉を口にした
「もしもし、ユウタ…」「ハヤトだけど、ちょとお腹が痛くて…」

こう言ってハヤトは、ユウタとの約束を断ったのであった
そしてハヤトとサツキは、八代神社の境内から、二人で花火を観る事になったのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑪

サツキを背中に背負い、ユウタの待つ八代神社の一本杉へと向かったハヤトは
神社の階段を、一段いちだん登って行った

するとサツキは申し訳なさそうに、ハヤトにこう言ったのだ
「ハヤトくん、ごめんね…」「重くない…?」

サツキがこう言うと、ハヤトはサツキに向かって
「大丈夫だよ、サツキ…」「あんず飴、ご馳走、出来なかったし…」

こうハヤトは、サツキに答えたのだ
其の言葉を聴いたサツキは、ハヤトの背中の背後から

ハヤトをギュッと握りしめたのだった
此の時、ハヤトはサツキに何も言わなかったが

自分のサツキに対する感情を、ハヤトは確認する事が出来たのだ
こうしてハヤトは息を切らし、階段の上まで登ったのであった

するとサツキは、ハヤトに向かってこう言った
「ありがとう、ハヤトくん…」「大丈夫…?」

サツキはハヤトに、申し訳なさそうに聞いたのだ
此の時ハヤトは、サツキに笑顔を作ってこう答えた

「大丈夫だよ、サツキ…」「昔、サツキを、よく背負ったから…」
こうハヤトがサツキに言うと、サツキも嬉しそうに微笑んだのだ

そして二人は、しばらく八代神社の階段の上で、昔の頃を思い起こし
見つめ合っていたのだった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑩

友達のユウタが待つ一本杉へと向かった、ハヤトとサツキは
八代神社の階段を登って居たのだが

其の途中でサツキの草履の鼻緒が、また切れてしまった
そしてサツキは階段の途中で、しゃがみ込んでしまったのだ

其れを見たハヤトは、サツキにこう言った
「サツキ…」「大丈夫か…」「其の草履、ちょと見せてくれる…?」

こうハヤトがサツキに言葉を掛けると
サツキはとても悲しそうな表情をして、ハヤトにこう答えたのだ

「ハヤトくん…」「ごめん、折角ハヤトくんが直してくれたのに…」
サツキがこう言うと、ハヤトはサツキにこんな言葉を掛けた

「俺の方こそ、ごめん…」「ちゃんと直せなくて…」
こうハヤトは申し訳なさそうに、サツキに言ったのだ

そしてハヤトは、草履の鼻緒が切れた部分を見て、サツキにこう言った
「サツキ…」「此の草履の鼻緒、簡単には直せないよ…」

こうハヤトがサツキに言うと、サツキは今にも泣きそうな表情を浮かべたのだ
ハヤトは何とかしなければと思い、咄嗟にこんな言葉をサツキに言った

「サツキ…」「階段の上まで、俺が背負って行くよ…」
此の言葉を聴いたサツキは、少し嬉しそうな表情を見せ、頷いたのだった

こうしてハヤトとサツキの二人は
ユウタの待つ八代神社の一本杉へと向かったのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑨

ユウタからの「LINE」を受け取ったハヤトは
サツキと一緒に、ユウタが待つ一本杉へと向かった

其の途中、ハヤトはサツキが自分の事を
どう思って居るのかとても気になったのだ

そしてこんな言葉を、サツキに投げ掛けた
「サツキ…」「金魚すくいの屋台で、おじさんに言った言葉、覚えてるか…?」

こうハヤトがサツキに向かって言うと
サツキは何の躊躇いもなく、こう答えたのだ

「ええぇ…」
するとハヤトは、恐るおそるこう切り出した

「ええぇ、て…」「それは幼馴染って事かなぁ…」
「其れとも、ひとりの男性として、デートしてるって意味かなぁ…?」

こんな言葉が、ハヤトの口から出て来たのだ
自分でも不思議なくらい、此の言葉が出て来た

すると其の言葉を聴いたサツキは、少し間を置いて、こう答えたのだ
「ハヤトくん…」「幼馴染なんだから、わたしの気持ち、わかるでしょ…」

サツキはハヤトに向かってこう言ったのだ
此の時のハヤトの気持ちは、複雑だった

其れはサツキに対する自分の気持ちが、はっきりとは自分でも判らなかったからだ
しかしサツキと一緒に居ると、昔の頃のように、素直に自分を出せるのは間違いない

こうして二人は一本杉がある
八代神社の階段を、登って行ったのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑧

金魚すくいの勝負で、サツキに負けたハヤトは
サツキにあんず飴をご馳走する為、二人であんず飴の屋台へと向かった

其の途中、ハヤトのスマホの着信音が鳴ったのだ
ハヤトは慌てて自分のスマホをポケットから取り出し、そして見て観る事にしたのだ

すると「LINE」のメッセージで有る事がわかった
ハヤトが其の内容を確認すると

八代神社の一本杉で約束して居た、友達からの連絡で有る事がわかった
ハヤトが其の内容を読むと、次の様な内容だった

「ハヤト、約束の18時過ぎてるぞ…」「早く来いよ…」「連絡待ってるからな…」
こう書かれてあったのだ

此の様子を観て居たサツキは、ハヤトに向かってこう言ったのだ
「ハヤトくん…」「もしかして今日のお祭り、友達と約束してたのかなぁ…」

サツキがハヤトに向かってこう言うと、ハヤトはサツキの方を向いて、こう答えたのだ
「ごめんサツキ…」「実は友達のユウタと、花火大会の約束を…」

こうハヤトがサツキに言うと、サツキはハヤトに向かって
「ハヤトくん…」「わたしも一緒に行って、いいかなぁ…?」

サツキは、そうハヤトに答えたのだ
ハヤトはとても焦った、そしてどう答えたら良いのか迷ったのだ

しかしあんず飴の件もあり、断る事が出来ず
一緒に八代神社の一本杉へと、向かう事になったのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑦

サツキと金魚すくいの屋台で、金魚すくいの勝負をしたハヤトは
サツキに良い所を魅せようと、デメキンばかり掬って居たのだ

しかしハヤトは、なかなかデメキンの金魚を掬う事が出来ず
サツキとの勝負で、一匹の金魚も掬えずに

とうとうハヤトの網(ポイ)は破れてしまった
そしてハヤトは残念そうに、サツキにこう言ったのだ

「ちっくしょー」「此のデメキン、活きが良すぎるよ…」
こうハヤトが、サツキに向かって話し掛けると

其れを観ていたサツキは、ハヤトに向かってこう言ったのだ
「ハヤトくん…」「ハヤトくん、調子に乗って、デメキンばかり掬ってるんだもん…」

こうサツキがハヤトに、笑いながら言ったのだ
するとハヤトはサツキに向かって、こう言い返した

「おっかしーなぁ…」「昔はもっと、上手かったんだけどなぁ…」

ハヤトがサツキにこう言うと、サツキはすかさず
「ハヤトくん…」「金魚すくいの約束、覚えてるよねぇ…」

こうハヤトに向かって、言ったのだ
ハヤトは悔しかったが、サツキとの金魚すくいの勝負に負け

サツキにあんず雨を、ご馳走する事になったのだ
こうして二人は、あんず飴の屋台の方へと向かったのであった

つづく…

【短編小説】夏祭り⑥

お祭りの屋台で、おじさんから金魚すくいの網(ポイ)と椀を受け取ったハヤトとサツキは

昔のように、金魚すくいの勝負をする事になったのだ
そしてハヤトがサツキにこう言葉を掛けた

「サツキ…」「この勝負、勝ったらどうする…?」
こうハヤトが言うと、サツキはハヤトに向かってこう言ったのだ

「それじゃ、ハヤトくん…」「あんず飴を賭けて、勝負しようよ…」
こう嬉しそうに、サツキはハヤトに答えた

其の言葉を聴いたハヤトは、サツキに向かって
「サツキ…」「よーしわかった、サツキには負けないぞ…」

こうハヤトはサツキに言い、ハヤトはサツキに良い所を見せようと
デメキンの金魚ばかり狙って、掬おうとしたのだった

するとサツキはハヤトに向かって、こう言ったのだ
「ハヤトくん…」「其の黒いデメキン、難しいよ…」

こうサツキがハヤトに言うと、ハヤトはサツキに向かって
「 サツキ…」「俺の方が上手いから、此れはハンデだよ…」

こう真剣な眼差しで、ハヤトはサツキに答えたのだ
其の時、既にサツキは二匹の赤い金魚を掬って居たのだ

しかしハヤトは、サツキに良い所を魅せたい一心で、デメキンばかり狙い
一匹の金魚も掬う事が、出来なかったのであった

つづく…